世の中のトレンドは日々うつりゆくもので、携帯業界もこれから大きく違う方向へシフトしていくかもしれません。つい先月までは、MNPのキャッシュバックなどが話題となるMNP偏重型の純増競争でしたが、これからは自分が見る限りでは純増ではなく、いかに付加価値をつけた売り方ができるのか(ARPUを高める)という方向への競争のシフトを感じることができます。
 


今回は昨日の記事よりも少しだけ詳しく今回のdocomoの料金プランについてみていきたいと思っています。今後の携帯電話業界を左右するような大きな転換期、料金プランをしっかり理解したものが、今後とも一番トクできるなら、みなさんしっかり理解できますよね?



基本料金プランの従来との比較点は?

新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」   料金・割引   NTTドコモ


主な従来の基本料金プラン 音声タイプXiにねん(月額743円 無料通話なし)、タイプSSバリュー(月額934円 無料通話1000円分)、タイプSバリュー(月額1500円 無料通話2000円)、タイプMバリュー(月額2500円 無料通話4000円)、その他月額によって無料通話がさらにお得になるバリュープランなどがありました。そして今回は音声プランは月額料金こそ、2200円(iモードケータイ)、2700円(スマホ・タブレット)とになりますが、国内の通話料が他社宛でも固定宛でも時間制限もなく無料になります。この点では従来のようにXiでは通話をすると30秒20円だったものが、この月額2700円を基本料金として支払うだけで、一切時間を気にすることなく定額で通話を利用できます。

ただし、従来の基本料金と今回の基本料金を比較すると、今回のカケ・ホーダイプランへのメリットを感じることができる人は、従来のタイプXiにねんで月約50分以上の通話をする人でなければ、従来のタイプXiにねんで通話の都度課金していた方がお得です。またドコモ宛であればXiトーク24を別途667円で追加することで、24時間無料となったので1410円の基本料金でドコモ宛はすべて定額です。


簡単にまとめると、今回の基本料金で得をするのは

  • XiのタイプXi(にねん)のプランで月50分以上他社宛に通話をしていた人
  • FOMAプランでタイプMバリュー以上の通話プランを契約している人

というふうに結論付けることができます。自分の場合にはスマートフォンを利用しているタイプXiにねんのプランではデータ通信のみを利用し、通話はほとんどしませんし、通話用として持っているFOMAのプランはタイプSSバリューのプランで足りているので、今回の料金的には通話定額があったとしても、得することはありません。

また最低利用料金があがるということで、電話の着信用のみで使いたいというライトなガラケーユーザーの人には基本料金743円で利用可能だったものが、今回のプランでは通話定額がついた2200円が最低料金での利用となってしまいます。



データプランの従来との比較点は?

新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」   料金・割引   NTTドコモ (1)


来のパケット定額プランは音声の場合には、XiのAndroidはXiパケホーダイフラット(月額5700円 7GB利用可能)、Xiパケホーダイライト(月額4700円 3GB利用可能)、iPhoneの場合にはXiパケホーダイ for iPhone(月額5200円 7GB利用可能)、iモードケータイの場合にはパケホーダイダブル(下限372円~上限4200円)というものが基本的なものとしてありました。

しかしこれまでは家族間ではパケットを分け合うことが出来ず、利用量が無駄になる月もありましたが、今回の家族でシェアできるプランでは家族での利用量の総量に応じてプランを選択することが可能で、10GB、15GB、20GB、30GBと4つのパックから選択することが可能です。それをうまく分け合うことが出来れば、個々でパケット定額を契約して払っているよりも、家族全体でのパケットの利用料金を支払う方が安くなることになります。また家族でシェアできるプランでは代表者の契約年数に応じたステージや25歳以下の年齢などによって割引を受けることもできます。シェアするには別途オプション料金が必要ですが、その辺をうまく組み合わせることができるかが鍵です。


ちなみに1GBあたりの単価を従来のプランなどと比較してみると

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※らくらくパックはシェア不可

※シェアには別途オプション料金500円必要

※データ通信でシェアする場合は別途基本料金必要

※各種割引あり最大2000円割引


この料金をみてみると、従来のプランと比較してシェアができる分だけ1GBあたりの単価が高くなっています。1人で利用する際には、利用量にもよりますが、7GBの利用の際にはこれまでよりも高くなることは確実です。複数人でシェアパックを利用して、はじめて従来よりも安くなるといったところではないでしょうか。一律でなくなった分だけ、しっかり家族全体で考えて使わないと今までよりも料金が安くなるどころか損をするといったこともあり得ます。


簡単にまとめてみると、今回のポイントとしては

  • 10GBから30GBを分け合うことのできる利用年数の多い家族が得をする
  • 25歳以下は500円割引で1GB利用量プラスになるけど、そこまで大きく変動しない
  • 1人1台しか利用しないなら従来プランの方が断然安い
  • データ通信の分けあいに基本料金が必要という謎


ということになります。賢く家族で使うというのがキーポイントです(後日、最適解を準備します)。また家族以外だとむしろ様々な組み合わせの方法や単純に単価も高くなるので、実際問題、1人で1台で使わない人であれば、むしろ今回の新料金プランは値上げかもしれません。音声の従来プランで5700円で7GBで利用できたものが、データMの5GB+2GB分オプションを利用すると7000円になってしまうからです。25歳以下なら5GB+おまけ1GB+1GBオプションで5500円で従来より安くなりますが、これまでよりも高くなるという可能性があるという時点で、値下げと大々的にうたった新料金プランとしては、個人的には失格だと言わざるを得ません。

そして、データ通信ではこれまで組み合わせで安くなる方法などありましたが、新料金プランではデータ通信になぜか基本料金をとり、それにデータパックの分けあいなどを推奨していくような感じになると思うので、おそらく料金的には高くなるのではないかと思います。

そしてなにより、データシェアをすることが前提のプランで、現状オプション料金として各500円を徴収するのは何やってんだという感じです。そこまでして見かけの料金を安く見せたかったのか甚だ疑問が尽きません。よくぞ、このプランで値下げを大々的にいえるのが本当におかしいところです。各メディアで最大半額になると報道される度に、数字見せろと言いたいです。



各プランを組み合わせた料金は?

基本料金とデータプランをみてきたので、最後にそれらを組み合わせた料金って一体どうなるの?という点をみていきます。

料金のサンプルとしては、今回は家族3人でAndroidを契約しており、パケットはそれぞれ月3GB程度使うということで計算していきたいと思います。


従来プランでの計算

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新プランでの計算

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という感じで、料金をみてみると旧プランでは3台で約18600円だったものが、新プランでは3台で21000円となっており、新プランでは約2450円高くなっています。新プランではカケホーダイとなって通話は定額であり、さらにパケットも1GB増えています。また1台目の利用期間によるランクによって最大1000円の割引や25歳以下であれば500円の割引を受けることが出来ます。


プランから見える結論を出しておくと


  • 新料金プランで恩恵を受けるのは、「通話はたくさん、通信は少ない」という長期利用者と25歳以下の子どもがいる家族ユーザー!!
  • 通話定額をメリットと感じるくらい通話しなければ料金は高くなる
  • 契約期間による割引や25歳以下の割引があって、やっと従来プランと同額か、それよりも若干高いという料金設定
  • 契約の変更が家族単位になるのでかなり手間がかかる


ここまで長々と書いてきましたが、個人的な見解からいうと、あれだけ大風呂敷広げた割には対して安くないじゃんということです。シェアプランなどはすでにMVNOでは提供されているプランであり、音声を含めたほぼ同様のプランの提供も今後始まっていくと思われます。今回のドコモのプランでは、通話定額にメリットを見いだせない人は特段安くなるわけでもなく、使い方やプランの組み方によっては、むしろ高くなる場合がほとんどであると思います。

これまでパケットを使う人と使わない人が同じ料金になるというのが不公平というのがありましたが、今度のプランでは音声通話を使う人と使わない人の間の不公平となり、結局は誰かが不利益を被るといったプランになっていて、ドコモのプランはそういった利用者の声をただの論点をすり替えたというものになっているのかもしれません。

もちろんドコモのようなプランは、諸外国でも見られるプランとなっていますが、定額のオプションであったものを基本料金に組み込み実質的に値上げになるこの方法は従来のプランを利用している多くのユーザーにとっては、仕組みや値段がしっかりとわかれば反発が多いものと思います。

大して安くないじゃん

そういう声がどこからかきっと聞こえてくるのでしょうか。


かつて、いくら高速通信や通話を使っても安くフラットな定額で利用できる未来がくると誰かが言っていたような気がします。しかし、今ではその未来は毎月一定量までしか通信ができないという家族でパイを分け合う従量制、そして無料の通話アプリなどの普及を食い止めようとする目的がみえみえな申し訳なさ程度の通話定額の時代の到来です。そしてキャッシュバックが終わっても安くならなず高くなる可能性を大いにはらんだ携帯料金。誰がパケット定額が始まったとき、MNPが始まったとき、この悲惨な未来を予想していたのでしょうか?


こうなった現実は仕方ありません、しかし次の未来をちゃんとした未来にするなら、店員さんに言われたからと受け身で利用するのではなく、ユーザーが知識をつけて料金プランをしっかりと活かすことができるようになるしかないのです。なんのためにその手にスマートフォンを持ってるんですか!まずは第一歩として、はいじんあんどしぃーくを読んでみてください。スマートフォン料金プランの今がきっとわかるはずです。