便利と規制はいつも両極端にあります。

一時期、コンビニでも携帯電話が購入できるという時代がありました。プリペイドケータイです。しかし、今はそういった簡単に買える携帯はほとんど存在していません。プリペイドケータイが廃止された理由の1つとしては、流行している振り込め詐欺(母さん助けて詐欺)の連絡手段として使われるなど、犯罪に使われるということが後を絶たなかったためとも言われています。


そして本日の報道でこんなものがありました。


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NHKニュース 携帯電話会社に本人確認の徹底を要請

キャリアと警察の関係者が会議に出席し、不正な携帯電話の流通防止などについて話し合ったということです。その中で携帯会社に対して本人確認の徹底、個人1人あたり5台までの販売の自主ルールについての妥当性の検討が求められたと、記事にはあります。


今回は記事について少しだけ思うところを書いていきたいと思います。



■今でも結構厳しい本人確認

最初に述べた通り、プリペイド携帯が規制された理由の1つとして、犯罪に使用されるケースが多かったということが挙げられます。今では携帯電話を1つ購入するのにも、顔写真付きの証明書でなければ他にも書類がいるなど、結構厳しい本人確認が行われています。しかしその中でも犯罪グループでは免許証の名前を書き換えて他人になりすましたりすることで、巧みにこういった本人確認を逃れているということがあります。もはや免許証の書き換えまで行われると、それはもう携帯会社の本人確認ができる範疇を超えているのではないかと思ってしまいます。個人的には一般の人が契約というものをする上で、ケータイショップでの本人確認は役所以上に厳しい部類に入っていると思います。法人契約に関してもあまりにも厳格にするには企業の利便性を考えると望ましくないことかと思います。本人確認がいたちごっこなら、もっと革新的な確認方法が求められているのかもしれません。



■なんちゃってプリペイド

現代でプリペイドケータイを購入するとなると、通常の携帯電話購入と同じ証明書類を揃えた上でしか購入できません。またプリペイドでも解約まである程度の契約期間が必要だったりなど、なんちゃってプリペイドとなっている状況です。これが犯罪防止のため、本人確認の徹底ということで骨抜きにされたプリペイドケータイの姿です。


■日本はSIMカードだけ気軽に買えない

諸外国ではプリペイドのSIMカードのみを購入することも可能です。外国の人でも気軽に購入することが可能です。SIMカードを販売している自動販売機だってあるところもあります。自分の使う通信料や通話料に応じて先払いなどで購入するというのが一般的なところもあるからです。その購入の際には、本人確認はない、もしくはあってもしれているもので、日本とは全然違います。

一方で日本では、外国の人が来てプリペイドのSIMカードが欲しいと言っても、売ってくれるところはないのではないかと思います。自分も一度、京都でWi-Fiの設備を訪ねてきた観光客の人と会ったことがあったのですが、今だと通信をするためにだと納得することも出来ます。

世界では簡単に電話やネットができるプリペイドSIMカードが販売されているのに、むしろ日本では海外の人でも購入しやすくなる規制緩和ではなく、さらなる締め付けの方にむかっている気がします。今後、東京オリンピックまでにこういった問題を解決することは果たして可能なのでしょうか?個人的には議論はされるものの、結局のところは無理だと思います。また本人確認の一層の厳格化は成長分野で頑張っているMVNOにも影響があるのかもしれません。



■回線制限は競争力の低下につながる可能性

現在、個人で1人の購入できる音声発信可能な回線数は上限5回線までとなっています。以前に上限を決めた基準でそのまま適用されているようです。今回の会議では1人5回線のルールはどうなのかというものがあり、もしかしたら今後見直しの方向へ進むことも十分に考えられるかもしれません。

しかし持てる上限の回線数を今よりも減らすこと、それは携帯会社の死活問題にかかわってくるのかもしれません。それは携帯会社の競争が各社の純増という数字で示されているからです。

そのために現在では、スマートフォン1台だけではなく、何台も持ったりすることが半ばキャリア主導で推進されている状況です。例をあげると、2台以上同時に購入すると割引やキャッシュバックが増額されたり、イーモバイルやウィルコムでは1つケータイを買ったら、あと4台は無料となるキャンペーンを展開していたりします。

これが仮に1台しか買えなくなった未来には、きっとどこかの携帯会社が純増競争に破れ、潰れたりする未来だってあるかもしれません。

また家族の問題もあります。家族で使っていても管理の関係上1人の名義ですべて契約していることだってよくあります。5人家族ならぎりぎりOKですが、これがさらに規制が厳しくなればちょっと面倒臭いかもしれません。

しかしよく考えると、5回線契約することが犯罪の温床になるというより、むしろ犯罪に利用する人は携帯の回線が1回線でも犯罪に利用するので、実際には意味がないような気がします。



■ケータイオタク的に困ること

ここまでは比較的まじめにみてきましたが、最後にケータイオタクの人的にはどう困るのかをみてみたいと思います。

まずケータイオタクの人って1人何回線くらい持っていると思いますか?個人的な調査では1人で30回線持っているという人だっています。自分の知っている方では平均して10回線前後というのが多いです。

ケータイオタク的に困ることは、ケータイが購入しにくくなるということです。絶対的に持てる回線数が減ってしまえば、それだけ購入できるケータイが少なくなります。今では半年以内に新しいケータイを購入したりする際には、回線数が減った場合に機種変更するには高額な解約金がかかる場合もあったりするので、ほぼ春夏秋冬と登場する大量に出るケータイを購入することが金銭的な負担面から不可能に近くなります。
また、今は多くのキャリアで、MNPで携帯を購入すると安く携帯を買えるというキャンペーンが行われていますが、それは買えば買うほどお得に購入できます。しかし回線の上限数がさらに厳しくなると、欲しいと思ったスマートフォンを安く購入できず、最終的にはスマートフォンを収集することも難しくなるかもしれません。

さらには1人で契約できる回線数がすくなくなることは、それだけ安価で通信できるデータ量が減ることにもなります。フラットは1回線では7GBしかないので、スピードテストを繰り返したりする人には辛いかもしれません。スピードテストをするためだけに何回線も持っている人もいます。
 

きっと一般の人には絶対にキモいと言われて理解されませんが、こういった制限がきつくなるとケータイオタクの人は困ります。



ということで、ニュースについて気になることを書いてきました。あくまでこれは個人的意見です。それぞれの方にはさらに多くの意見があることと思います。
 

犯罪防止のための規制強化、いいことだとは思いますが、それによって消費者の便利さやキャリアの競争力を削ぐことになってはいけません。そこのバランスは重視して検討してもらいたいところです。