iPhone 5siPhone 5cがドコモからも発売されるということが発表され、そして920日発売がされ、ここ数年間、今まで「ドコモからiPhone」ということが夢物語ではなく、現実のものとなった。数年前からiPhoneが出るのが濃厚と伝えていた新聞社は悲願を達成し、全国のドコモショップの店員さんはAppleの発表会の後、日本では朝一のニュースでその事実に驚いたところであろう。それくらい唐突にドコモからiPhoneが取り扱われるといったことが正式発表されていたようだ。

今回自分が説明したいのは「ドコモからiPhoneというのはユーザーにとって果たしてうれしいものだったのかということだ。


ここ数年、ドコモのユーザーは減少の一途をたどっており、ついに50%を割り込むということになった。スマートフォンの販売数としても様々な各種多様なスマートフォンを販売していても、発売日当初はランキングの上位にいるが、少し経つとすぐにiPhoneに押されてしまうという状況であった。純増数でもiPhoneを販売しているauやソフトバンクは常にプラス、ドコモのユーザー数はそのauやソフトバンクの増えた分減っているというのが、これまでのiPhoneを持つものと持たざるものとの差であった。今回iPhoneがドコモから販売されたのかというには諸説あり、それらが複合的にAppleとドコモとを結びつけたというのには間違いないが、その1つにドコモとしては一人負けが続いており、ユーザー数の減少というものに歯止めをかけたいという意図もあったに違いない。

かつてドコモからiPhoneが販売される前には、ドコモユーザーこうつぶやいている人も多かった「ドコモがiPhoneを出すまでスマートフォンにはしない」「ドコモのスマートフォンは高い」といった主旨のものだ。確かに他社ではソフトバンク、並びにKDDIiPhoneをすでに販売しており、実質価格も各種キャンペーンなどを利用すれば実質0円もできたソフトバンクやKDDIと比較して、ドコモでは頑張っても実質5000円などとそこまで実質価格も安くなかった。しかし料金面では柔軟に7GBのヘビーユーザー、3GBのライトユーザーといった1000円程度違うパケットプランが用意されており、毎月の本体代金や割引額、通信料金を合計したときには、決して3GBのプランを選択できている人は他社並みとなるような料金設定であったと思う。実際にドコモは噂されるほど言われるほど高くなかったのが、個人的に料金を見てきた感想ではある。

むしろこのドコモが高いといったその出る前に、機種変更でiPhoneとも比較したいのにAndroidしかドコモには選択肢がないといったことの問題点が、スマートフォンにしたいけどよく名前を聞くiPhoneとどう違うのか比較が出来ないのに、他社と同じ料金を取るという割高感のイメージにつながっているのではないかと想像する。自分が聞いたことのある中には「ドコモのスマートフォンはソフトバンクやauiPhoneの劣化版」ということもある。AndroidiPhoneの違いというのが不明瞭なためにこんな言葉になっているのだと推測するが、人間は思い込んだらそれを払拭するのはなかなか難しい。

加えて、ドコモが高いというイメージがつく原因としては、ドコモには長期ユーザーが多いという点もあげられる。ドコモの10年程度の長期ユーザーであれば、かつて数万円で最新機種でも機種変更できていた時代を経験してきている。その時代は今と比較すれば基本料金は高いものの、機種代金は安いということであった。その後、基本料金を値下げする代わりに本体代金が高くなるという時代があり、このときの自分の機種変更を担当したケータイ屋の人の売り文句が「はじめは高く感じますが、長く使えば使うほどお得になります」というものであった。確かに自分もこのとき、確かにケータイ電話を持ち始めた自分も毎年機種変更できるような気軽な金額ではなく、この本体代金の高さというものに驚いた覚えがある。このときの本体代金値上げといったインパクトは、基本料使用料半額といったインパクトをすべて打ち消してしまってイメージとして形成されているに違いない。

またドコモの高価格印象を決定づけたのは、おそらく初期のスマートフォンでの料金体系であると推測される。その当時、ソフトバンクではパケット代4410円でガラケーと比較しても比較的変化の少ないままスマートフォンへ移行することができた。しかしドコモではパケット代は1000円程度値上げされ、さらに本体価格も割引など使っても高いなどといったことがあった。これがガラケーからの切り替えを少し躊躇させ、ドコモのスマートフォンは高くなるといったことを印象づけた原因にはこれも関与している。この先ほどとの2つの事例によって、ドコモの本体代金は高い、料金は高いといったことが広まっていったと考えられる。

 

 その後、時代は進んだ。今も語られる名機が出た905i時代にあったような『同じ機種を長く使えばお得』というのではなく、2年ごとに買い換えることがお得』というシステムに変化している。今はスマートフォンを購入すると受けることの出来る割引は購入後2年だけであり、その後は割引が無くなる分料金自体は高くなる。

例えば、2年より前に機種変更して2年間の割引が切れたあとも同じスマートフォンを使い続けている人の料金と2年間の割引がある最新のスマートフォンに機種変更して使っている人の料金は、実はほとんど変化がなく、それならLTEなど最新の機能やサービスが使えるスマートフォンを使うほうがほとんどの人がお得と感じるはずだ。また今回の話には関係ないが2年毎の更新月に他キャリアへMNPし、また2年後にといった風に渡り歩くといった方法が一番お得にスマートフォンを使うテクニックの1つでもある。

 

では、iPhone販売が始まった今、不満の一部であるドコモは高いのか安いのかということを考えて行きたい。

ドコモからiPhoneが発売されたときにこんな声が聞かれた。『長期ユーザーを優遇しない』『ドコモは料金が高い』ということだ。予想通りといえば予想通りだが、今回1つ言えること、2年間に必要な費用の数字だけを見ればドコモは現状、機種変更では他キャリアと比較して安いということでもある。しかし一部報道などではネガティブ面ばかり強調されていて、実際にはどうなのかというのがほとんどのユーザーに伝わっていないというのが現状だと思われる。なぜそういったネガティブな情報ばかり出てくるのかといえば、そういう記事を書いている人は最新スマートフォンが出る度に購入するようなユーザーであり、そして今回のドコモのiPhoneはそういったすぐ機種変更するようなユーザーには割高になるような価格設定がされているからという感情を反映しているのも原因かもしれない。

今回のドコモは機種変更に関してどうなっているかといえば、本体代金は機種変更でも新規でもMNPでも確かに高い、しかしその分2年間の割引が多く、iPhone 5c 32GBiPhone 5s 16GBという機種でさえ、他キャリアは機種変更の場合には2年間で1万円程度の実質負担が必要となるが、ドコモでは2年間使った時の実質負担が0円と設定されている。実質負担というのは、本体価格から毎月の割引額24回の合計を引いたもの。2年間の途中で機種変更や解約、指定のプラン以外への変更をすると毎月の割引がなくなり、本体価格を分割にしている場合には本体価格の支払いだけが残り割引をうけることが出来なくなるという仕組み。つまり割引の2年間使わないと実質価格と同額にはならない。

またドコモではiPhone 5c 16GBではさらに本体価格以上に割引を受けることが出来る。機種変更としても実質価格としては-6300円となり、なぜか0円でもなくiPhone 5c16GBをさらにスマートフォンを2年間使っていれば安くなるといったことまである。さらに通話に関してもauやソフトバンクのように1-21時まで同キャリア通話し放題というものはないが、スマートフォンで通話をしなければ780円、同キャリアに通話をしたい場合には別途24時間無料となるXiカケホーダイのオプションも安価で選択できるようになっている。またパケット代金は他キャリアと同じ5460円となっており、ここにもかつてのような特段の差はない。この数字から導き出される結論は、純粋に2年間機種変更でiPhoneを使うならドコモはすべての容量で他社と比較しても今回のiPhone 5siPhone 5sは安いといえる。むしろなぜ料金を比較したときに誰もauやソフトバンクは高いとは言わないのかというのが個人的には疑問でもある。

ここまで読んでいただければ、「ドコモのiPhoneの料金が高い」、この噂は実は読者目線に立っていないニュースサイトやブログが招いた説明であったとご理解いただけたであろうか。

次に長期ユーザーに対する特典がないといったことをドコモiPhoneが気に入らないことで挙げてる人もいた。かねてよりドコモはXperia A SO-04EGALAXY S4 SC-04Eなどでは実質価格が5040円程度になるという長期ユーザー優遇もやっていた。しかし今回のiPhoneに関しては10年以上のユーザーを対象とした割引などはない。しかし先に述べたように実質0円というこれまで機種変更ユーザーが文句の対象であった他社との比較では、今回のiPhoneでは機種変更ユーザーへキャンペーンとして割引を増額、またiPhoneを待ち望んだ長期ユーザーには優先的にiPhone 5cの受付、また発売日にはiPhone 5sのネットからの受付ということまで行った。これ以上何をドコモに望むのかという感じでもある。おそらくこれ以上のことはドコモとしてもできないであろう。iPhoneがドコモから発売され、機種変更が実質0円でも満足できないユーザーはこの機会に他社へMNPすることをぜひともおすすめしたい。すでにiPhone 5cに関しては他社ではキャッシュバックがあったり、場所によってはMNP一括0円というのも行っており、こういうiPhoneMNPできたのであれば世界が変わるはずだ。ユーザーの不満としてはむしろ機種変更よりもMNPが優遇されることを毛嫌いしている人も多いが、純増を目指して競争しているキャリアの中では最もドコモが機種変更とMNPの人の差が少ないキャリアでもある。他社ではさらに露骨に長期ユーザーの特典は削られ、機種変更ユーザーが定価で購入している一方で、MNPなら本体0円、割引までつき、さらに50000円近いキャッシュバックまであるキャリアもある。また満足できない既存ユーザーのMNPが多くなればその分、既存ユーザーへの特典は増すかもしれない。なんとも逆説的だ。

確かにドコモのiPhoneはキャリアメールが発売当初は使えず(101日より対応)、様々なキャリアコンテンツなども発展途上であるものの、アプリなどは通常どおり他社のiPhoneと同様に使える。もちろんLTEネットワークに関して地域差はあるものの、個人的にはLTEの速度ではなく、むしろiPhoneでドコモの安定した3Gエリアを使用できるというのが今回のiPhoneの強みだと思っている。LTEの電波速度に目が行きがちだが、3Gエリアの広さやつながりやすさなどもぜひとも今後誰かに調べてほしいと思っている。

 

最後になったが、最初に言ったとおり、「ドコモからiPhoneというのはユーザーにとって果たしてうれしいものだったのかという結論であるが、もちろん答えはイエスだといえる。選択肢が広がることはユーザーのメリットを考えると悪くなく、今後はAndroidiPhoneをしっかり比較できるからである。また料金やキャンペーンなどの競争も今後激しくなっていくので、いつもは恩恵が受けることの少なかった機種変更のユーザーも今回のiPhone 5ciPhone 5sが実質0円となるキャンペーンなども今後ともiPhoneだけではなく、Androidにも波及していくのではないかと予想される。

ぜひともドコモには今回のiPhone発売で、ドコモのスマートフォンはソフトバンクやauiPhoneの劣化版と言われた汚名を返上し、ドコモのiPhoneを見せてほしいものである。長年、iPhoneで苦しんだ印象、そしてユーザーのドコモに対する反感にも似た感情は皮肉にもiPhoneで解消できるのか。

ドコモの本気で今度はスマートフォンの常識を変えていって欲しいと今後とも注目していきたい。